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The Sence of an Ending(まさに哲学!)+自分のこと。

久しぶりに晴れた058.gifまた暑くなるのかーと思うとそれはそれでゾッとする。

さて、雨の多い日が続いたので、私としては絶好の読書日和だったわけですが。先日は


終わりの感覚 (新潮クレスト・ブックス)


こちらの 「終わりの感覚」 ジュリアンバーンズ/土屋政雄訳 ( イギリス文学 ) 読了。

土屋翻訳はハズレがないなー。翻訳家によっても本のあり方とはずいぶん変化するので。

しかしこのバランス感覚 ! 終わりの感覚よりもバランス感覚を求められる1冊であった。

個人的にはとっても良かったんだけど、賛否両論分かれる内容でもあると思う。

特に日本教育ってのは 「 筆者が何を描きたかったか 」 を求めるものであるが

基本的には 「 何を行間で読み取ったか 」 が大切であり、描いたものが表面であるならば

それを通して何を伝えようとしていたか、が、要になる。

奥深いとは、まさにこの事 !

物語として秀逸かどうかというよりも、物語の裏にある真に伝えたい物事を捉えた人は

より面白く感じるのではないだろーか、と思った、非常にバランスを要求される一冊であった。

上辺の流れだけを読むと 「 はぁ? で? 」 になるかもしれん。

そこにある哲学を読み取る、に長けている人には買って損はない一冊だと思う。

内容紹介(Amazonより)
時は流れ、ゆらぎ、やがて跡形もなく消える。二〇一一年度ブッカー賞受賞作。歴史とは、不完全な記憶と文書の不備から生まれる確信である――。二十代で自殺した親友の日記が、老年を迎えた男の手に突然託される。それは、別れた恋人の母親の遺言だった。男は二十代の記憶を懸命に探りつつ、かつての恋人を探しあてるが……。記憶の嘘が存在にゆすぶりをかけるさまをスリリングに描くバーンズの新境地。


この1冊で、生と死、若さと老い、歴史と事実、愛と憎しみなどなど、全てにおいて

相反する両方が混在しており、またその 「⇔」 は、「→」であり「←」であるというどちらにも

比重のかけられない、「⇔」はともすると「=」である、というような結果が読んで取れる。

ヘーゲル好きにはたまらない一冊となりそうです。

全ての流れが、ミネルヴァの梟として成り立っていて、んー似たところの言葉だと

『 木を見て森をみず 』 でも人って森ばっかり見てたら木を観察しない……

生きる上での愚かさもあるけれど、全体を統合したらそれは個々でそれなりの善であるのか ?

とか、色んな事を考えさせられる一冊であった。


人間関係上で簡単に語るとすれば、AさんからBさんの話を聞いた、何て酷い話 ! と

直接的にBさんを知りもしないのに知らない内に固定観念がついてしまい

「 Bさんは悪い人 」 しかし直接に知り合ってみると、Bさんそんなに悪い人じゃなかった、

だとするとAさんが誇大妄想を繰り広げた話だったのだろうか、今後Aさんの話は

話半分がいいの?ここで、一番残酷なのは誰であるか、

答えは 『 私 』 である。

全く 『森』 が見えていない上に、さらには 「 そこに山があったから登る事の何が悪い ! 」

と言い放ったも同然の愚かさがあるwww

AさんBさんそれぞれ意見もあれば、起こった事象もある事実だろう。

人を信じることはいい、だが真実を知らずしてどんな意見がいえよう、それぞれに抱えた

問題もあり、そこに心を寄せるのは決して悪い事ではないが、そこにあるバランスを見失うと

それはただの愚かな行為…… こういうのがミネルバであり、木を見る、という理論。


それを物語をベースに伝えると言うのは著者お前必死だろ ! つーか賢すぎ !

な様に惚れてしまい、一気に読んでしまった。土屋翻訳も日本語のチョイスが美しく

古典文学のような、それでいてどこかしらサブカル的な側面もあり、と。

浮つかずの安定感が凄い ! ブラボー。


特に自殺についての言い分というのはぐっときた。個人的にとても。(したいわけではないw)

自分の生において自分で決着をつける事こそが道徳的・人間的義務である、とあったが

ここはまた理論としては言いえて妙だが、論理としては別である。(と思う)

そもそも、哲学のみで人間が仕上がっているのであれば、何でも後付的に済んでしまうし

他者の事などお構いなしではないか ! と。

カミュめー。何が自殺こそ真の哲学だ ! とか、ねーww


ここから自分の話になるが、私はあの朝、高円寺の不動産屋の前にいる一匹の白い梟をみた。

一人ではとても死んでしまうと思った深夜、職場の先輩に助けを求め、悲しいんだかそれとも

認めてやるべきなんだかの議論を自分の中で繰り広げ、タイムオーバーだかゲームオーバー

だか知らんが、こんなのはあんまりに残酷だろ ? な気分で、明け方の駅へ送っていった。

先輩は元気だせとも、会社来いともいわない代わりに、彼の本棚をみて

『 基本的に三島を愛してる時点で、終わってんだよ 』 と誰に言うともなく、拾い上げて

叩きつけていた。その先輩に助けを求めて正解だった。

誰も責められない、でも狂おしく、誰かに何かをぶつけたいがだからって何がかわる、

元気出せとか頑張れとかそんなもん何になる、誰がどんだけ泣いた、苦しんだ、

救いなんかねーよ、な、中で、先輩はそこに残った思想だけに当り散らした。

残されてしまった私は、それにとても、救われた。

そーだそーだ ! 三島のせいだ ! とか、どーでもいい事に賛同したりしてw

『 ちっ太宰まであんのか。太宰っつーより、堕罪だろ 』 とか。少し救われたりした。


駅まで送っていく途中、何あれ、生きてんの??と近寄っていくと、生の白い梟。

ゆっくりだけど、瞬きをしてた。

「 あー。ミネルヴァ。全部全部 ! 」 先輩は 『 なるほどなーって何のメッセージ…w 』 と

困った顔をして、とにかくあんた死ぬんじゃないよ、と言った。

2人して駅まで、なるほどー、なるほどなぁー、と言いながら歩いた。何が、なるほどwww


ダニエルキイスはいうとった。

知能というものは、テストの点数だけではありません。他人に対して思いやりを持つ能力が

なければ、そんな知能などむなしいものです。人間のこの特性を欠いている人々は、

残忍な嘲笑と空威張りの仮面のかげに隠れるものです。



哲学は必要。でも人間として与えられた感情は卓上の計算だけでは終わらず、あふれ出して

なんぼ、そこが偏りすぎてもまた、なとこがある。愛と憎しみは 「⇔」 こうであるが、

実は脳の反応している部分は同じ部位である、というのも、真実。嫌いほど好き、好きほど嫌い

言葉では片付けられない、そんな感情を哲学に押し込める事に意味を持つよりも

相手あってこその思いやりも大切にして欲しかったんだわな、私の思いって。

そこに自己犠牲がつきまとったとしても、何も、死ぬこたぁあるまい ! と。

逃げる事が正義かと問われたら、相手にとったら善だった、私にとっては悪だった、ここに

バランスを下さい~♪と 水割りばりに注文したい。


久しぶりに揺さぶられた、そんな一冊。

だからって何ができる、何ができた、そうなの、結局歴史なんて時間を重ねただけの

そこで何かが起きた、ただそれだけなの。これを 「 というわけだから細かい事で悩まない ! 」

とするか 「 だからこそ良い時間にしたい、して行きたい ! 」 と模索するのかは自由

自由こそが哲学的、という観念に行き着くんであった。


バランス・程よく は、一番難しく、永遠に課題かもしれないねー。

等と、雨の日に思っていたんであった。

ふわふわした文学より、どちらかというと考える事が好きな方にはオススメな一冊でありんす。

まあ…生きるって事は愚かで、だからこそ、素敵なんであろーな。
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by guimauve-cafe | 2013-06-22 16:34 |


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